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『スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-』、宇宙やオーバーテクノロジーを題材とした人気シリーズ5作目

2015年4月に謎のティザーサイトが「スクウェア・エニックス」から公開されました。ティザーサイトには「STAR」と読める文字が。「スターオーシャンの続編か。続編が来るのか。」と長年待ち続けたスターオーシャンシリーズのファンが踊り、沸き立ちましたが、過去の行いから疑心暗鬼になっている者も多く、「もしもしだろ?」「期待するだけ無駄」などの意見も聞かれ、「いや、これはスターグラディエイターだ。」「スターラスターか。」と明らかにメーカーが異なるタイトルを予測している者もいました。そして公開日当日に、「スターオーシャン5!開発はトライエース!」とでかでかと発表されると、熱心なシリーズファンは大きな歓声をあげたのです。

正式タイトルは、『スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-』。プラットフォームは、「PlayStation 4」と「PlayStation 3」のマルチプラットフォームですね。なお、ティザーサイトの「STAR」の文字は「START」でした。「STAR OCEAN」じゃありませんでした。発表されたタイトルがスターオーシャンであったことに変わりはありませんが、公式がひっかけにひっかけを重ねてきた瞬間でした(意図的かどうかは知らない)。

  • 名前 :スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-
  • 発売日 :2016年3月31日
  • プラットフォーム :PS4,XBoxONE
  • サイト :http://www.jp.square-enix.com/so5/

シリーズの変遷

スターオーシャンシリーズの第1作は、1996年に発売されました。第1作は、スーパーファミコンの末期だったこともあり、知る人ぞ知る作品でしたが、2作目の『スターオーシャン セカンドストーリー』は大ヒットとなり、70万本近くを売り上げました。しかし、その後の3作目が賛否両論であり、4作目にいたっては、多数のユーザーから空気のような扱いを受け、一部のユーザーからは事実上シリーズが死んだとまで言われてしまいました。そんな状況のなか、4作目の2009年から6年以上の月日がたち、5作目の発表となったため、ここに来て一体どんなスターオーシャンを見せてくれるのかと、多いに注目されました。正直にいって、5作目はないだろうと思っていたファンも、少なからずいたのではないでしょうか。

宇宙を舞台としたSF(サイエンスフィクション)

スターオーシャンというタイトルの通り、宇宙を舞台としたSF(サイエンスフィクション)です。とはいっても、宇宙船に乗って、宇宙を飛び回るゲームではなく、基本的には中世ファンタジーの世界を冒険するゲームです。この中世ファンタジーの世界に、オーバーテクノロジーな、高度な文明をもった先進的な惑星や組織(銀河連邦など)が登場し、中世ファンタジーの世界を掻き乱していくのが一種のお約束であり、今作も例外ではありません。しかし、いかんせん過去作に比べるとスケールの小ささが否めません。

まず、冒険する舞台となる惑星が一つしかありません(過去作には複数登場する場合がありました)。惑星が一つしかなくとも、それを補う作りこみや演出があればよかったのですが、その唯一の惑星も非常に狭く感じられてしまう作りの甘さがあります。例えば、フィールドやダンジョンは、数が少ないうえに、これといったギミックも無く、一本道で単調になりがちです。街や村はいくつか存在しますが、ほとんどの建物に入れないうえに、NPCとの会話が非常にやり辛く、ゆえに会話をしなくなり、ただ通り過ぎて、たまにアイテムを買うだけのハリボテのような街になってしまいました。世界を彩るグラフィックは素晴らしいですね。癖がありますが、間違いなく「PlayStation 4」のグラフィックです。しかし、作り込みが甘いうえに、ボリュームが大きく不足しています。ボリューム不足を補うためか、ストーリー上、かなりいったりきたりをさせられるのも厳しいですね。同じフィールドや街を何度も往復する羽目になります。加えて、クエストを消化しようとすると、より一層作業感が際立ってしまいます。

お人形のようなモデリング

キャラクターに関しては、案の定といったところか、お人形のようなモデリングで、よく批判の的にされます。これが、どうしても受け付けないという人はいるでしょう。最も、今作に限った話ではなく、3作目からずっとお人形のようなモデリングです。もともと、スターオーシャンのキャラクターイメージはアニメ調です。アニメ調のモデリングといえば、テイルズオブシリーズなどが採用しているトゥーンレンダリングが挙げられますが、スターオーシャンでは採用されていません。

スターオーシャンにアニメ調のモデリングが向いているかというと微妙です。なぜなら、アニメ調なのはキャラクターだけで、スターオーシャンを構成する舞台は、アニメ調というよりは実写(リアル調)に近いためです。フィールドやダンジョンはもちろん、宇宙やムービーシーンなどもリアル調で描かれています。今作もそうだし、過去作もそうでした。宇宙や艦隊戦での演出に、実写に近い迫力を期待している方も多いでしょう。にもかかわらず、キャラクターだけをトゥーンレンダリングにするのは違和感が大きく出てしまうかもしれません。そういった違和感を取り除こうとした結果が、お人形のようなモデリングなのかもしれません。

お人形モデリングに関しては、私自身はそんなに否定的ではありません。それに、『スターオーシャン4 -THE LAST HOPE-』とかに比べれば不気味さは薄らいでいるほうです。特に男性キャラクター、例えば、ヴィクトルやエマーソンなどのモデリングはよくできていると思っています。

ストーリーや演出の物足りなさ

SF(サイエンスフィクション)の世界で、キャラクターを中心としたサブカル的な雰囲気が混ざり合った世界であり、ストーリーも同様の雰囲気です。あまりストーリーが期待されている作品でもありませんが、それでも、過去作と比較してスケールが小さいため、物足りなさを感じてしまいます。

演出は、ほとんどのシーンがカットシーンであり、それは今作の特徴の一つでもあります。イベント中に自由にカメラアングルを動かすことができ、ポーズをとったりも出来ますが、そのせいでイベントスキップが一切出来ないため、ストレスを感じてしまう部分も多いのです。宇宙での艦隊戦も全てカットシーンであり、艦隊戦でのダイナミックな演出を期待しているとがっかりします。また、このゲームは非常にカメラが荒ぶります。個人差がありますが、人によっては酔いを引き起こしてしまうようです。設定で感度は下げられます。私は酔いに耐性があるため、どうということはありませんでした。

「3すくみ」を追求したバトルシステム

スターオーシャンシリーズの見所と言えば、「バトルシステム」と答えるファンは多いでしょう。スターオーシャンシリーズの「バトルシステム」は中毒性の高いアクションであり、今作は、3作目である『スターオーシャン Till the End of Time』をベースにした「3すくみ」アクションとなっています。プロデューサーも3作目が好きなようで、今作のタイトルロゴも、なんとなく3作目っぽいですね。

というか、一見して区別がつきません。

攻撃には小攻撃と大攻撃があり、小攻撃はガードできますが、大攻撃でガードは割られてしまいます。その大攻撃は、出の早い小攻撃に潰されるという形です。ガードからの反撃でガードカウンターを発動させることもできます。しかし、このスターオーシャンシリーズ最大の見所とも言える「バトルシステム」があまりうまく機能していません。機能しているのは序盤だけで、中盤以降は、「3すくみ?何それ?」状態です。機能していない理由はいくつかあります。

まず、過去作と異なりパーティ人数が多いことです。なんと、7人戦闘です。3すくみは 1 vs 1 では機能しますが、多 vs 多ではあまり機能しません。囲んで大攻撃連打でなんとかなってしまう場面が多いのです。そのうえ技のエフェクトが非常に派手です。派手でかっこいいのは結構なことですが、7人もいるせいか、エフェクト過多で画面全体がとにかく見えません。見えないんじゃせっかくの3すくみもどうしようもありません。

そして、敵の大攻撃が思いのほか小攻撃で潰せないのです(特に大きな敵)。潰せない場合は回避するしかありません。一応ステップで回避できますが、回避するなら7人戦闘をいかして、側面や背後を取ってゴリゴリ攻撃したほうが早いのです。敵の数が基本的に7人以上になることがあまりなく、常にプレイヤー側が数的有利になるため、大雑把な「バトルシステム」を、より助長してしまっています。

私の場合は、本当にゴリ押しだけで最後まで進んでしまいました。苦戦したところは、中盤のアンヌ防衛といわれるミッションと、敵のスピキュールくらいです。

楽しいアイテムクリエイション

スターオーシャンシリーズは伝統的にアイテムクリエイションと呼ばれるシステムがあります。作品によって細かなシステムは異なりますが、素材を使って多彩なアイテムを生み出すという点では同じです。それは、武器だったり、防具だったり、料理だったりします。今作もしっかり実装されています。特に料理は強敵でお世話になりました。最大HPが上昇する効果のある調理品を作成し、ボス前でそれを食べ、突撃します。アイテムクリエイションを駆使することで大きく難易度が変わるゲームですね。そういったやり込みが楽しいゲームでもあります。

その他、ロールというシステムがあり、各キャラクターにロールを設定することで、パーティ内での役割を明確化し、付加価値を付けることができます。攻撃力や防御力が上昇するという単純なものから、風変わりなものもあります。このロールも、活用することで、ゲームの難易度が大きく変わります。ロールの一つである「デッドマン」はチート級です。強すぎます。

アクション性は低く、育成を重視したRPG

『スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-』は、あくまで「RPG」であり、アクション性は低いものです。「バトルシステム」は、アクションでありますが、細やかなテクニックを要求してくるわけではありません。あくまで育成を中心としたゲームです。アイテムクリエイションやロールは良くできていると感じます。反面、「バトルシステム」はイマイチで、爽快感こそありますが、のめり込めません。育成を重視すると、それだけゴリ押しで単調なバトルになりがちですが、「バトルシステム」が事実上機能していないこととは別に考えるべきであり、その点において、やはり残念な出来といわざるを得ません。

どこか懐かしさを感じるプロモーション

スターオーシャンシリーズを飛躍させた作品は、『スターオーシャン セカンドストーリー』ですが、その要因の一つにサブカル的な人気があります。キャラクター人気が高く、ガンガンでコミカライズが連載され、アニメ化もされました。エニックスから不定期に刊行されていた4コマ漫画劇場を読んでいたファンも多いでしょう。そういったサブカル的人気を意識してか、今作は、公式サイトに4コマ漫画を連載したり、発売前に人気投票をやったりとファンサービスに勤しみました。ゲーム本編の出来とはあまり関係ない話ではありますが、「あぁ、スターオーシャンってこういうゲームだったな。」と、久しぶりの雰囲気に懐古したアラサー諸君もいたのではないでしょうか。