ROZETERIA

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『PlayStation VR』いよいよ発売!いささか盛り上がりに欠けるラインナップ

「PlayStation VR」の発売直前ということで、ローンチソフトのラインナップをチェックしてみました。

ラインナップは、「PlayStation VR」の公式サイトで確認できます。

http://www.jp.playstation.com/psvr/contents/index.html

正直に言って、いささか盛り上がりに欠けるラインナップという印象です。数は多いものの、映像コンテンツが多く、ゲームとしてのヴァーチャル体験を期待していると、選択肢があまりありません。一番人気はやはり『サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム』でしょうか。ただ、ゲームとしての期待値は低く、あくまで「ヴァーチャル空間でのかわいい女の子と楽しいコミュニケーション」が売りです。

http://summer-lesson.bn-ent.net/

ゲーム性を重視すると、『RIGS Machine Combat League(リグス マシン・コンバット・リーグ)』が注目ソフトとして挙げられます。唯一のマルチプレイ可能なゲームでもあります。対抗馬は、『Rez Infinite』『Battlezone』あたりでしょうか。『PlayStation VR WORLDS』は、ヴァーチャル入門用として最適ですね。とりあえずヴァーチャルを体験したいという層にはぴったりだと思います。むしろ、一番の安パイかもしれません。

http://www.jp.playstation.com/software/title/pcjs50017.html

http://www.jp.playstation.com/software/title/pcjs50016.html

映像コンテンツとしては、事前評価が高い『Allumette』などがあります。『アイドルマスター シンデレラガールズ ビューイングレボリューション』『初音ミク VRフューチャーライブ』などは固定ファン向けですね。個人的には『NORTHERN LIGHTS -極北の夜空に輝く光の物語-』が気になっています。オーロラをヴァーチャルで体験してみたい…。

ゲーム機としての「PlayStation VR」は、やはり人気タイトルである『グランツーリスモ SPORT』の発売延期が大きく魅力を落としています。同じく人気タイトルである『エースコンバット7』も発売時期が不明です。ただ、R25にはこんなアンケート結果が掲載されています。

「VRへの期待」3位はHでセクシー体験、1位は…

これを見ると、「インタラクティブでリアルなゲーム」が5位であり、1位は、「家にいながらできる旅行&観光」となっています。ゲームユーザーを対象としたアンケートではないため、「PlayStation VR」ユーザーとは、感覚が異なるのでしょうが、ヴァーチャルを一般層に広めるのであれば、映像コンテンツや追体験を充実させるのが一番かもしれません。確かに世界遺産などをヴァーチャルで自由に見て回れるとあれば、是非体験したいですね。

「PlayStation VR」予約戦争!物を売るってレベルじゃない?

「PlayStation VR」の発売が直前に迫っています。

「PlayStation VR」の日本での発売日は10月13日。3度の予約戦争を経て、ついに発売となります。3度の予約戦争はなかなかに熾烈を極めたものとなりました。残る最後の可能性が当日の店頭販売ですが、ほとんどが抽選販売のようで、朝早くからショップに並んだとしても確実に手に入る保障はなさそうです。「物を売るってレベルじゃねぇぞ!」は、「PlayStation 3」発売当日の迷言ですが、「PlayStation VR」はどうなるのでしょう?

第一次予約戦争の勃発

第一次予約戦争は6月18日に勃発しました。そして、大方の予想通り予約開始と同時に予約終了となりました。オンラインショップはほとんど即時に全滅となりました。多くのユーザーが、ディスプレイ前にて待機し、予約開始ボタンが表示されるのをリロード連打で待ち構えていました。しかし、ボタンが表示されたかと思ったら、既に予約終了ボタンという顛末で、放心状態となるユーザーも数多くいました。

オンラインショップ大手の不手際

そんななか、オンラインショップ大手の「Amazon」が見事な珍事をやらかします。「PlayStation VR」の特集ページを事前に用意し、予約販売を開始する予定でしたが、この特集ページに予約開始のリンクが一向に出てこないのです。「PlayStation VR」の予約解禁は、午前9時でしたが、予約開始のリンクが表示されたのは9時を20分以上過ぎてからでした。そして、表示されたときには、既に予約完売で終了していたのです。

なぜ、こんなことが起きたのでしょう。実は、特集ページとは別に、「Amazon」の検索ボックスから、「PlayStation VR」の商品ページに飛べ、そこから「PlayStation VR」の予約ができてしまっていたのです。そんなことも露知らず、特集ページ待機組みが、一向に現れないリンクを待ち続けている間に、何気なく「PlayStation VR」を検索し、商品ページに到達した選ばれし者だけが、予約のチャンスを得られたのでした。

当然、特集ページ待機組みは激怒。「PlayStation VR」の商品ページは、★1のレビューで荒れに荒れました。後ほどそれらのレビューが全削除されたことで、更なる批判を集めました。特集ページへのリンク掲載が遅れた理由は不明ですが、システム上の不具合と言われています。レビューの全削除に関しては仕方がないでしょう。あくまで商品のレビュー欄ですので。「Amazon」の不手際が要因で、不評が集まってしまったのだから、「PlayStation VR」から見ればとばっちりですね。

予想よりは落ち着いていた店頭販売

一方、カオスな状態となったオンラインショップと異なり、店頭販売組みは比較的落ち着いていたようです。ビッグカメラは抽選販売だし、ヨドバシカメラも全額前金制のおかげか、転売屋などが比較的少なかったようです。それでも開店数時間前の待機が必要でしたが、逆に言えば、早朝待機していれば入手できた可能性が高いものでした。

第二次、第三次の予約戦争

その後、第二次、第三次の予約戦争が勃発しました。第二次は7月23日。第三次は、9月24日。いずれも第一次ほどの混乱はありませんでしたが、一時間かからず完売御礼となりました。そして、最後のチャンスが10月13日の当日販売となります。当日販売といっても抽選方式も多く、早朝から並んでいれば必ず入手できるとは限りません。先着順なのか、抽選なのか、事前に下調べは必須となるでしょう。

転売屋

さて、「PlayStation VR」における転売屋はどうだったのでしょう。転売屋は、希少価値の高い商品を買占め、ネットオークションなどで、通常価格より高めに商品を売る人達のことです。転売屋が押し寄せることで、一般ユーザーの手元に商品が届く機会が減るのですから、当然のごとく嫌われる存在であります。

「PlayStation VR」でも、第一次予約戦争の終戦からほどなくして、楽天などのネットオークションに多くの「PlayStation VR」が掲載されました。価格帯は85000円台あたりです。正規価格が、カメラ同梱なしで44,980円(税抜)、カメラ同梱ありで49,980円(税抜)ですので、7割増しのお値段ですね。オークションでの手数料を考えても、30000円程度の粗利になるので、買えなかったユーザーが転売屋憎しとなるのも自然な流れではあります。

しかし、発売直前の今、あらためてネットオークションを覗いてみると、価格帯が65000円台まで落ちていました。発売直前に売り抜けるつもりなのでしょうか。

実はあまり盛り上がっていない?

正直に言って、「PlayStation VR」の需給は読めません。周辺機器という位置付けに関わらず、予約時点でこれほど盛り上がるのはあまり前例がありません。しかし、発売を直前に控えている今の状況は、予約時点と比較するとかなり落ち着いているのではという印象です。いや、むしろ盛り上がりに欠けているのではとも感じます。国内の「PlayStation VR」専用タイトルに魅力が乏しいというのもあるかもしれません。『エースコンバット7』や『グランツーリスモSPORT』などの人気タイトルの発売はまだ先の話です。もしかして、第一次予約戦争がピークだったのでは…。ここにきて、転売屋の価格が落ちていること、出品数を含めて考えれば、「PlayStation VR」の品薄状態は予想以上に早く解消されるかもしれません。

「PlayStation VR」当日販売ローンチソフトその2

「PlayStation VR」の発売直前ということで、ローンチソフトのラインナップをチェックしてみました。

ラインナップは、「PlayStation VR」の公式サイトで確認できます。

http://www.jp.playstation.com/psvr/contents/index.html

360デート おさななじみ

http://www.jp.playstation.com/software/title/jp1941cusa06751_00000000000v001000.html

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):未定

ヴァーチャルキャラクターとのコミュニケーション…ではなく、実写です。いや、実写とはいえ、360度空間なわけだからヴァーチャルであることに変わりはありません。ジャンル表記が「VRデート・ドラマ」とあるので、ゲーム性に乏しそうです。どちらかといえば映像コンテンツですかね。

JOYSOUND.TV Plus

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):無料

カラオケです。映像がヴァーチャルになっているのでしょうか。

『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation®VR

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):無料

『シン・ゴジラ』の映像コンテンツでしょうか。公式サイトもなく不明です。

Catlateral Damage (にゃんこラテラル・ダメージ)

http://www.jp.playstation.com/software/title/up0259cusa04521_000000000000000001.html

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):999円(税込)

ネコになっていろんな場所を散らかすらしい…。ジャンル表記は「シミュレーション」だが、ネコになりきるロールプレイと言ったほうがわかりやすいかも。

日本驚嘆百景 白亜の要塞〜姫路城〜

http://www.jp.playstation.com/software/title/jp1941cusa06750_00000000000v001000.html

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):未定

旅するヴァーチャル。もちろん、映像コンテンツです。

NORTHERN LIGHTS -極北の夜空に輝く光の物語-

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):864円(税込)

北極圏で見られるオーロラ「北極光」をヴァーチャル映像で楽しみます。プラネタリウムとかが好きなので、映像コンテンツの中では割と気になっています。

Battlezone

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):6,372円(税込)

ヴァーチャル空間でのシューター。オモチャの世界に入りこんだような世界で、プレイヤーはオモチャのタンクを操作するようです。ジャンル表記は「ファーストパーソンVRコンバット」。ローンチソフトの中では貴重なゲームとしてのヴァーチャルですが、価格がフルプライスなため、購入には勇気がいるところです。公式サイトも日本語向けがありません。

バットマン:アーカム VR

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):2,678円(税込)

ヴァーチャル空間でのアドベンチャー。プレイヤーはバットマンとなって、事件の謎を解き明かしていきます。

初音ミク VRフューチャーライブ

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):2,700円(税込)

ヴァーチャル空間で、初音ミクのライブが楽しめます。ローンチソフトとしては「1st Stage」のみの配信で、「2nd Stage」「3rd Stage」が後ほど配信されます。価格も全て2,700円(税込)。

舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):1,620円(税込)

『刀剣乱舞』の舞台公演がヴァーチャル映像として提供されるようです。

PlayStation VR WORLDS

http://www.jp.playstation.com/software/title/pcjs50016.html

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(パッケージ版)4,900円+税
  • 価格(ダウンロード版):5,292円(税込)

「SIE」が提供する「PlayStation VR」入門用ソフト。ヴァーチャル向けのミニゲームが収録されています。パッケージ版とダウンロード版で価格が異なります。

ライズ オブ ザ トゥームレイダー

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(パッケージ版)6,800円+税
  • 価格(ダウンロード版):6,264円(税込)

『ライズ オブ ザ トゥームレイダー』のヴァーチャル対応版。ヴァーチャルだと、一人称視点になる模様です。

RIGS Machine Combat League(リグス マシン・コンバット・リーグ)

http://www.jp.playstation.com/software/title/pcjs50017.html

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(パッケージ版)6,900円+税
  • 価格(ダウンロード版):7,452円(税込)

ロボットを操作し、オンラインで 3 vs 3 のチーム戦を行います。一人用モードだとリーグ戦になるらしいです。ヴァーチャル空間でオンラインを楽しめるのは、このソフトくらいですかね。

Rez Infinite

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):3,400円(税込)

共感覚シューティングとあるが、よくわかりません。調べてみると宇宙を泳ぐ感覚でシューティングをするらしい。

「PlayStation VR」当日販売ローンチソフトその1

「PlayStation VR」の発売直前ということで、ローンチソフトのラインナップをチェックしてみました。ラインナップは、『PlayStation VR』の公式サイトで確認できます。

http://www.jp.playstation.com/psvr/contents/index.html

多いので、記事を分割してお届けします。

アイドルマスター シンデレラガールズ ビューイングレボリューション

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):2,480円(税込)

アイドルマスターシリーズのヴァーチャルリアリティが楽しめます。「VRアイドルライブ」とあるように、映像コンテンツに近い性質のようです。

Allumette

http://www.penrosestudios.com/

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):未定

映像コンテンツです。マッチ売りの少女をベースにしたストーリーとなっています。ゲームではありませんが、ヴァーチャルの映像コンテンツとしての評価は高いものです。

あんさんぶるスターズ! オンステージ

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):1,620円(税込)

これも映像コンテンツです。2015年発売のスマートフォン向けのゲームが原作となっています。乙女向け。

Until Dawn: Rush of Blood

http://www.jp.playstation.com/software/title/jp9000cusa03982_00untildawnrob0000.html

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):2,160円(税込)

一人称視点視点のシューティングです。2015年に発売された『Until Dawn - 惨劇の山荘 -』の世界が舞台です。ホラーが苦手な人は注意。

Invasion!

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):無料

映像コンテンツ。CGアニメ。後ほど劇場公開されることが決定しています。

KITCHEN

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):100円(税込)

「E3 2015」で公開された技術デモがベース。ゲームというよりは恐怖を体験する映像コンテンツです。税抜き93円という凄まじい価格。

サイバーダンガンロンパVR 学級裁判(デモ)

http://www.danganronpa.com/vr/

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):無料

「PS Plus」の加入者限定で無料配信されるとのことです。

サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム

http://summer-lesson.bn-ent.net/

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):2,980円(税込)

ローンチソフトのなかではド本命です。ヴァーチャルキャラクター(女の子)とのコミュニケーションを多いに堪能するゲームです。いったいどれだけの方が、このゲーム目的で「PlayStation VR」を買うのでしょうか。

THUMPER リズム・バイオレンスゲーム

http://www.jp.playstation.com/software/title/up1613cusa03559_00thumperps4full00.html

  • 発売日:2016年10月13日
  • 価格(ダウンロード版):1,999円(税込)

ゲーム性自体はタイミングにあわせてボタンを押す普通のリズムゲームです。ヴァーチャル空間を利用してのハイスピードの映像が売りです。

『DARK SOULS Ⅲ』、ソウルシリーズの集大成的作品

『DARK SOULS Ⅲ』は、変態技術者集団「フロム・ソフトウェア」が送り出すソウルシリーズの3作目(『Demon’s Souls』を含めると4作目)です。同時に、シリーズの集大成的なゲームとなっています。というのも当のソウルシリーズの産みの親であり、『DARK SOULS Ⅲ』プロデューサーの宮崎英高氏が、『DARK SOULS Ⅲ』をもって、ソウルシリーズを一旦区切りとする旨の発言をしているためです。既にソウルシリーズ以外の新しいIPの開発も始まっているようです。

  • 名前 :DARK SOULS Ⅲ
  • 発売日 :2016年3月24日
  • プラットフォーム :PS4,XboxOne
  • サイト :http://www.darksouls.jp/

世界は重苦しく、悲劇に満ちている

『DARK SOULS Ⅲ』は、ダークファンタジーです。世界は重苦しく、悲劇に満ちています。他の日本製のゲームにはあまり見られないソウルシリーズ独特の世界観は、数多くのプレイヤーを虜にしてきました。今作も例外ではありません。プロデューサーの宮崎英高氏の高い評価も、世界観によるところが大きいでしょう。

プレイヤーが操作する主人公は、このダークファンタジーの世界を練り歩くことになります。固定の主人公は定められてなく、プレイヤーが主人公の設定を決めます。性別や体格を設定でき、フェイスメイクにより、顔の作りも自由にできます。すなわちロールプレイのゲームで、この秀逸な世界でのロールプレイが『DARK SOULS Ⅲ』最大の魅力となっています。

プレイヤーの行動や判断で、行く末が決まるゲーム

ロールプレイを重視しているため、ストーリーはあっさりしています。いや、押し付けがないというべきでしょう。一応、主人公には使命があり、それを達成することが、このゲームのクリアとなります。また、マルチエンディング方式であり、プレイヤーの行動で訪れるエンディングが決まります。

サブキャラクターとのイベントもあります。但し、イベントフラグや分岐がわかり辛く、うっかりサブキャラクターが死んでしまったりなんて事も起きます。決められたストーリーを追うというよりも、あくまでプレイヤーの行動や判断で、行く末が決まるゲームといえます。

複雑で難しそうに感じますが、そんなことはありません。ゲームをクリアするのにストーリーを理解する必要がないためです。基本的に与えられたステージを順番にクリアしていくゲームで、謎を解き明かすゲームではありません。サブイベントも必須ではありませんし、ゲームクリアの障害ともなりません。

難解で考察必須なストーリー

ストーリーを理解する必要のないゲームですが、そもそもとしてストーリーの理解が難しいという面もあります。世界観やバックボーンを説明してくれる案内役のような存在がいません。プレイヤーはほとんど何の説明もないまま、ダークファンタジーの世界に放り込まれます。

とはいえ、ストーリーや世界の成り立ちを紐解くヒント自体は、各所に散りばめられています。アイテムのフレーバーテキストがそうで、それはソウルシリーズの特徴ともなっています。それを読むのを楽しみにしているプレイヤーも多いのです。世界観に浸れる重要な要素の一つなのです。ロールプレイに徹するならなおさらでしょう。

一方で、アイテムのフレーバーテキストを読み込んでもはっきりとした回答が得られない場合も多いです。そこから先はご想像にお任せしますということですね。ゆえにファンの間で考察が活発に行われているゲームでもあります。

道中何度も死ぬことになる

ゲームシステムは単純明快です。ステージクリア型のアクションRPGであり、ステージの最後で待ち構えているボスを倒し、次のステージへ進むのです。各ステージはシームレスに繋がっているため、この世界への没入をより手助けしてくれます。『DARK SOULS』以降のソウルシリーズは、全てシームレスとなっています。これをオープンワールドと呼ぶユーザーもいるようですが、各ステージがシームレスに接続されたステージ制のゲームと表現したほうが、よりしっくり来るでしょう。

各ステージの敵やボスを倒すと、ソウルが入手でき、そのソウルを使うことでレベルアップを行います。バトルシステムも至極単純であり、攻撃ボタンを押して、攻撃を行い、回避ボタンや防御ボタンを押して、敵の攻撃を避けたり防いだりします。シンプルなシステムを土台としながら、ゲーム自体は非常に難易度が高く、道中何度も死ぬことになります。ゆえに「死にゲー」や「マゾゲー」と呼ばれます。単純明快なシステムをベースとしたやり応え十分な難易度やレベルデザインが魅力のゲームです。他にないゲーム性に病み付きになるでしょう。

シリーズの集大成

『DARK SOULS Ⅲ』は、シリーズの集大成的な作品です。『DARK SOULS Ⅲ』をもって、ソウルシリーズが一旦区切りとなるからです。そのため、『Demon’s Souls』を含め、過去作のオマージュが多く、ユーザーへのファンサービスに力を入れています。『DARK SOULS Ⅲ』をプレイするのに過去作を知っている必要はありませんが、知っているとより楽しめる形です。

ファンサービスは、ファンとしては喜ばしいことです。しかし、同時にこのゲームの短所ともなっています。どこかで見たシチュエーションばかりで真新しさに欠けます。オマージュやファンサービスは、最初こそクスリとなるものの、満足するのは最初だけで、すぐに飽きが来ます。ソウルシリーズは、レベリングによるキャラクターの育成や更なる高難易度を提供する周回要素など、リプレー性が高いことでも評価を得ていましたが、今作はそれがあまり感じられなくなってしまいました。過去作で存在した周回時の敵追加(通称、赤モブ)がなくなったのも地味に残念に感じるポイントです。

戦技

ファンサービスに力を入れている『DARK SOULS Ⅲ』において、唯一といってもいい、新しい要素が戦技です。武器や盾には各々戦技と呼ばれるものがあり、戦技を繰り出すことで、その武器固有の特殊な行動を取ることができます。盾だったら、敵の攻撃を裁き、致命的な一撃を入れる「パリィ」だったり、剣ならば、敵の盾を崩す「構え」などです。

しかし、ゲームシステムに大きな影響を与えたり、新しい体験を産み出す要素かというと No と言わざるを得ません。言い換えれば、武器ごとに存在する単なる追加の固有モーションでしかなく、そのモーションも使い回しが多く、種類が豊富ともいえないのです。例えば、敵の攻撃を裁く「パリィ」は、『Demon’s Souls』からのお馴染みの要素だし、形を変えて戦技として登場したところで、新鮮味に欠けます。決して悪い要素ではありませんが、新システムというには大げさすぎるものでしょう。

緩く繋がるオンライン

『DARK SOULS Ⅲ』はマルチプレイがあり、協力プレイやPVPが存在します。緩く繋がるオンラインとなっていて、一期一会の協力プレイを楽しめます。合言葉を使ってフレンドとのプレイも可能です。しかし、同時に侵入されるリスクも付きまといます。侵入は、『Demon’s Souls』から続く、ソウルシリーズ伝統のようなマルチプレイです。他のプレイヤーの世界に侵入し、そのプレイヤーを倒すのが目的です。

被侵入側は基本的に侵入を拒めません。侵入されたら応対しなければなりません。独創的で風変わりのオンラインで、その性質上、ストレスが溜まりやすく、理不尽な目にあいやすいのです。相変わらず初心者狩りも一定数存在し、ゲーム終盤のアイテムや武器を携えて、ゲーム序盤の初心者に襲い掛かります。

一方でこの殺伐したマルチプレイは、数多くの中毒者を生み出してきました。ストレスを抱え、ヘイトを溜めながらも、マルチプレイがやめられない亡者達です。そして、プレイヤーは徐々に人間性を失っていくのです。単にオンラインでフレンドとイチャイチャしたいのであれば、素直に他のゲームをプレイすることをお勧めします。

『DARK SOULS Ⅲ』、ソウルシリーズの集大成的作品

『DARK SOULS Ⅲ』の楽しみ方はいろいろあります。ロールプレイに徹してもいいし、周回などのやりこみを重視し、高難易度の死にゲーを存分に味わってもいいでしょう。殺伐としたマルチプレイを楽しむのもよいですね。非常に優れたゲームなのは確かなのですが、一方で、どうしてもマンネリを感じてしまう部分があります。『DARK SOULS』の最終作にして、殆ど何も変わらなかった作品が『DARK SOULS Ⅲ』です。最終作だからこそ、変えなかったのかもしれません。

始めてのソウルシリーズが、『DARK SOULS Ⅲ』なら何の問題もありません。『DARK SOULS Ⅲ』自体は丁寧に作られています。『DARK SOULS Ⅲ』は決してつまらない作品ではありませんが、ユーザー側が慣れすぎてしまいました。『Bloodborne』も含めて短期間に類似する作品をいくつも出してしまったのも要因かもしれません。そういう意味では、一旦ここでソウルシリーズが終わりというのは、いたしかたないことなのでしょうか。

『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』世界観、ストーリー、演出に没頭させてくれるハリウッド映画のようなゲーム

『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、ノーティドッグ開発のアクションアドベンチャーゲームです。ノーティードッグは、アメリカのゲーム開発会社で、SIEの完全子会社です。だから、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は勿論 PlayStation 4 独占となっています。20年以上に渡り、優れたゲームを創り上げてきたデベロッパーで、ノーティドッグへの期待値は非常に高いものでした。そして、ノーティドッグは、それにきちんと応えてくれます。『クラッシュ・バンディクー』や『アンチャーテッド』が有名ですね。なんと、『クラッシュ・バンディクー』は、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』のゲーム内でプレイすることができます。

シリーズを締めくくる優れた作品

『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、表題に連番こそ付いていませんが、シリーズ作品です。もっぱら"アンチャ4"、"UC4"などと表記されます。シリーズ自体は通算で5作品目です。にもかかわらず、なぜ"アンチャ4"なのかというと、携帯ゲーム機で発売されたスピンオフ作品『アンチャーテッド 地図なき冒険の始まり』があるからです。このスピンオフ作品を除いて、アンチャーテッドシリーズは主人公(ネイト)が同じです。主人公以外にも馴染みのキャラクター達も登場します。

『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、これがシリーズ最後の作品になるかもしれません。少なくともネイトが主人公となるアンチャーテッドは終わりなのでしょう。開発がそのように公言しているためです。だからこそ、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、シリーズを締めくくる集大成的な作品となります。実際にゲーム内容はそのような感じですね。過去作品のアンチャーテッド要素が全て詰め込まれています。

何気ない作りこみがとにかく凄いゲーム

シリーズ最後の作品だけあって、ボリュームは申し分ありません。そのうえ、冒険の舞台も幾度と無く変わり、様々な舞台を見せてくれます。シチュエーションも多様です。建物に忍び込んだり、遺跡を探索したり、広大な荒地を自動車で疾走したり、銃撃戦から、カーチェイス、1vs1の格闘シーンまで、様々です。これでもかといわんばかりにぶっこんで来ます。

マップも作りこまれており、グラフィックの品質も高いですね。オープンワールド並みに広いマップも存在します。屋根裏部屋の地球儀にピンポン球を当てて、地球儀を回転させて遊んだりもしました。こういった何気ない作りこみがとにかく凄いゲームなのです。

綺麗に完結する人間ドラマ

主人公は変わらずネイト(ネイサン・ドレイク)であり、シリーズ最終作だけあって綺麗に完結します。とにかく海賊王が残した秘宝を探し続けることになるのですが、その過程で人間ドラマがあります。エレナとの結婚生活のため、過去のような冒険をやめたネイトの元に、兄のサムが訪れます。海賊王が残した莫大なお宝を探し出さないと、兄のサムは命が危ない。とあるギャングに、お宝を見つけることを条件に生かしてもらったからです。ネイトは兄を助けるため、宝探しに協力します。

海賊王が残した莫大なお宝を探す目的は、終盤で大きく変わります。ストーリーが大きく変わる瞬間です。驚いたとともに、「お前、マジかよ」と言いたくなりましたが、ある意味似たようなことをネイトもやっています。ストーリーの序盤でエレナに対してですね。ネイトに対する兄のサム、エレナに対するネイト。そして、サリーは特に立ち位置が変わることなくいつも通り。ネイトを、時にはエレナを気遣ってくれます。

超人的なロッククライミング

アンチャーテッドのゲームプレイの多くは、ロッククライミングです。崖をよじ登ったり、崖から崖へ飛び移ったり、ロープアクションだったりです。よじ登りゲームですね。これを簡単にやってのける主人公のネイトは相変わらず超人に見えます。ロッククライミングだけでなく、パルクールにも精通しています。

ただの人間とは思えない動きをしますが、ただの人間です。ロッククライミングのことはよくわからないため、実際にネイトのようなクライミングができるかどうかはわかりませんが、命知らずであることは間違いありません。しかも、少年時代からそんな感じです。

凡庸なゲームシステム

ゲームシステムはいたって凡庸です。ロッククライミングやパルクール、銃撃戦などがアクションとして存在しますが、突出した何かがあるわけではなく、とにかく普通のアクション、普通のFPSです。1vs1の格闘シーンなどもありますが、ちょっとした反射神経と、タイミング良くボタンを押すだけです。作り自体は丁寧なものですね。

演出として、ボタン操作を要求される場面も多いです。「突然、崖が崩れて落っこちてしまう!早くボタンを押してロープを引っ掛けるんだ!」。こういったボタン操作を、QTE(Quick Time Event)と呼び、ムービーシーンや演出を盛り上げるためなどに使われます。アンチャーテッドのQTEは自然で、あまりストレスになりません。だが、アクション性を重視するプレイヤーにとっては、ゲームに必要の無い要素として、QTEを批判することもあります。例えば、終盤の女性指揮官との取っ組み合いは、展開があらかじめ決まっているように感じてしまい、戦闘自体の自由度はないし、面白さもありません。あくまで演出としての戦闘なのです。そういうものだとわかってないと、イライラするかもしれません。

基本的に一本道のゲーム

基本的に一本道のゲームです。オープンワールド並みの広大なマップもありますが、一本道であることは変わりません。進めるところを進み、キャラクターの指示通りに進めば、大概問題がありません。崖上り、パルクール、ロープなどのアクション要素も同じです。「ここでは、ロープを使ってくださいね!」。開発者があらかじめ用意したアクションを選択して進んでいくゲームプレイです。時折、開発者の意図がわからず、どう進めて行けば良いのかが解らない場合もありますが、時間経過でヒントが出るため、詰まることはありません。

プレイする映画

ゲームシステムが凡庸で、一本道のゲームですが、魅力のないゲームではありません。そもそも、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』が目指すゲーム性は、自由度の高いアクションではないと思いますし、広大なマップの探索でもありません。ハリウッド映画のような演出や表現力を堪能し、映画の世界をプレイするゲームです。

一本道であるため、迷うこともないし、ヒントもでます。謎解きを要所で要求されますが易しめです。QTE要素が強いため、アクションが苦手でも、慣れればどうってことありません。銃撃戦が難しいならば、難易度選択で難易度を落とせます。

演出や表現力は本当に凄いの一言です。一切のロードがなく、全てシームレスです。ゲームプレイとイベントシーンとの繋ぎ目も自然で、いつイベントシーンに入ったのかがわからないほどです。

オフラインプレイだけでなく、マルチプレイもあります。ゲームシステム自体が普通であるため、マルチプレイも普通のFPS(銃撃戦)です。ただ、ロッククライミングや、ロープアクションを駆使するため、こういった要素は他のFPSにあまり見られない要素ですね。マルチプレイは、あくまでささやかなエンドコンテンツと認識したほうが良いでしょう。あくまで、オフラインプレイ(ストーリー)を重視したゲームであるように思います。

『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』は、まさに万人向けのゲームですね。世界観、ストーリー、演出に没頭させてくれるハリウッド映画のようなゲームです。

『いけにえと雪のセツナ』、「スクウェア・エニックス」の古典的名作の多くをリスペクト

「あの頃、みんなRPGに夢中だった。とりもどそう。ボクたちのRPG―。」

1990年代から2000年代初頭まで数多く存在し、今や衰退して久しい日本製RPG達。『いけにえと雪のセツナ』は、あえて今の時代だからこそ、それらの古典的なRPG達をリスペクトした一作となっています。

販売は「スクウェア・エニックス」ですが、開発元は「Tokyo RPG Factory」です。「スクウェア・エニックス・ホールディングス」の100%出資の子会社であり、『いけにえと雪のセツナ』は、「Tokyo RPG Factory」の処女作でもあります。

http://www.tokyorpgfactory.com/

「スクウェア・エニックス」の古典的名作の多くをリスペクト

『いけにえと雪のセツナ』は、古典的なRPGの中でも『クロノ・トリガー』を強くリスペクトしています。開発者が自ら、それをアピールするほどです。戦闘システムは、『クロノ・トリガー』のATB(アクティブ・タイム・バトル)をベースに独自の要素を付加したものとなっていて、技の連携や、3人技も存在します。

技自体も、「エックス斬り」から「カエル落とし」まで、『クロノ・トリガー』に存在した懐かしい技がずらり。その他、『ファイナルファンタジーVII』のマテリアをリスペクトした「法石」や、「地滑り残月」など、『クロノ・トリガー』だけにとどまらず、かつての「スクウェア・エニックス」の古典的名作の多くをリスペクトしているといっても過言ではありません。

「いけにえ」「雪」「セツナ」がテーマ

タイトル通り、「いけにえ」「雪」「セツナ」がテーマとなっています。世界は、全編雪景色であり、草原も砂漠も山々もありません。本当に雪景色しかありません。大きな大陸と島々から成り立っており、ヒロインの「セツナ」が、「いけにえ」として「最果ての地」を目指します。世界は、魔物がはびこっており、魔物を抑えるには、「最果ての地」で、魔力の高い「いけにえ」を捧げる必要があるのです。その「いけにえ」に「セツナ」が選ばれました。主人公(エンド)は、セツナの護衛として、旅路をともにします。自己犠牲型のストーリーと言えるでしょう。

セツナは、強い使命感を持つ気丈な少女となっています。「いけにえ」として捧げられるのにもかかわらず、あまり悲壮感を見せません。名前は「短く一瞬で消え去ってしまう時間」を意味する「刹那」から名付けられたものでしょう。なお、ヒロインの名前だけでなく、「刹那システム」と呼ばれる戦闘システムや、「刹那」と名付けられた武器も存在します。

「刹那」が一瞬の時(とき)を意味するように、「時」も重要なテーマとなっています。セツナ以外にも、主人公のエンド(終焉)、クォン(久遠)、ヨミ(黄泉)など、時を感じさえる名前は他にもあります。

なお、主人公のエンドは、プレイヤーの分身であり、基本的に喋りません。『ドラゴンクエスト』や『クロノ・トリガー』の主人公と同様ですね。選択肢はポツポツとでるものの、選択肢の内容によってメインストーリーが分岐するようなことはありません。

淡白であり、起伏に乏しいメインストーリー

シナリオは基本的にシリアスです。自己犠牲が強く出ているので、苦手な人もいるでしょう。全体的に淡白であり、薄味です。テキストのボリュームも少なく感じます。メインストーリーも非常にあっさりしているうえ、これといった驚きも無いよくある凡庸なお話としてまとまっています。あまり多くを語らない1990年代の古典的なRPGと同様です。ある程度、プレイヤーがストーリーを補完していかないといけません。豊富なテキスト量でストーリーを表現してくる今風のJRPGを期待する作品ではありません。

とはいえ、1990年代の古典的なRPG達は、テキスト量自体は少ないものの、ストーリー展開や演出、音楽で盛り上げていました。『クロノ・トリガー』も同様でしょう。それらと比べてしまうと、イマイチ物足りないのも事実です。ラストは賛否両論ですかね。

見下ろし型のグラフィック構成

見下ろし型のグラフィック構成で、昨今のハイエンドゲームのような3人称視点ではありません。ドット絵全盛期の1990年代のRPGは、そのほとんどが見下ろし型(トップビュー)でしたが、ハードウェアのスペックが向上した現在、数少ない日本製のRPGは3人称視点が主流となりました。ドット絵でなく、あくまで3Dですが、見下ろし型のグラフィック構成は、どこか懐かしさを感じてしまいます。

音楽はピアノオンリー

びっくりなことに音楽はピアノオンリーとなっています。ガチでピアノしかありません。曲自体は非常に良いものです。雪景色と非常にマッチしている高品質の出来です。ただ、やはりピアノだけだと抑揚に乏しく、まるで子守唄のようにプレイヤーの眠気を誘ってくるかもしれません。

『クロノ・トリガー』をベースとしたATB(アクティブ・タイム・バトル)

戦闘システムは、前述の通り、『クロノ・トリガー』をベースとしたATB(アクティブ・タイム・バトル)となっています。独自の要素として、「刹那システム」があります。「刹那システム」は、専用のゲージを消費することで、技の効果を拡張するシステムです。技に追加ダメージを付けたり、回復効果を持たせたりできます。拡張される効果は、技ごとに決まっています。

専用のゲージは、ダメージを受けたり、何らかの行動をしたりで少しづつ溜まっていきますが、もっとも溜めやすいのは、行動可能な状態で待機することです。このため、単なるATB(アクティブ・タイム・バトル)で収まらず、行動可能になっても、あえて刹那発動のために待機するという戦略が生まれます。刹那が有用であるため、なおさらですね。

刹那は面白い要素ですが、それでも戦闘はやや退屈に感じてしまう場合があります。雑魚敵は連携技で一掃できてしまうため、作業感が抜け出せません。ダンジョンの攻略が詰まらないのも要因です。ダンジョンは単調且つ一本道で、ギミックも乏しいものです。雑魚敵の配置にも工夫が見られず、同一ダンジョンに出てくる雑魚敵のバリエーションも少ないのです。同一種の雑魚敵を繰り返し、倒していくのみの作業となってしまうのです。

一方でボス戦闘はスリリングです。『クロノ・トリガー』と比較して難易度は高く、特にボスが強いのです。雑魚と違って、きっちり戦略を練らないとやられてしまいます。中盤の羊や、ラッシュを仕掛けてくる虎さんは難敵です。

『ファイナルファンタジーVII』のマテリアのようなカスタマイズ要素

法石は、『ファイナルファンタジーVII』のマテリアのようなカスタマイズ要素です。法器と呼ばれる装備品に法石を当てはめることで、キャラクターの技を追加したり、能力を高めたりします。特殊な効果を付与することもできます。重要な要素であり、ゲームを進める上で、理解が必須です。

敵が強くて勝てない場合は、レベルをあげるより、法石を見直したほうが良い場合も多々あります。法石は、素材を売却することで入手でき、素材は敵がドロップします。レアな素材も存在します。そのため、法石を入手するための素材収集は、このゲームのやり込み要素ともなっています。難点は、法石の付けはずしが面倒なことですね。法器を切り替えても、可能な限り、法石も装着した状態にして欲しかったです。

カスタマイズ要素は法石だけではありません。一応、法石以外のカスタマイズ要素もあります。一応と書いたのは、はっきりって空気気味だからです。具体的には、「料理」「昇華」「武器の強化」などのカスタマイズ要素です。しかし、これといって必要な場面に乏しく、どの要素も使い始めて、理解する頃にはゲームが終わってしまいます。決して使えないわけではありません。「昇華」などは、突き詰めればかなり強いシステムです。使えないのでなく、使う機会が乏しいと言ったほうが良いですね。

20時間程度でクリアできるゲーム

発売前から20時間程度でクリアできるゲームと宣伝されていました。そのため、ボリュームが少ないことは事前にわかっていました。ただ、それでも、あっさりなメインストーリーとあいまって、予想以上にボリュームが少なく感じてしまいます。

また、ボリュームが薄く感じてしまう要因の一つにやり込み要素の少なさが挙げられます。例えば、「強くてニューゲーム」がありません。『クロノ・トリガー』のようなゲームを期待して、プレイした方には、肩透かしだったのではないかと思います。また、「法石」「昇華」などはやり込み要素ですが、やり込んだところで戦う相手がいないというジレンマに陥ります。強さを追求しても、それに応えられる敵がいないのです。強力なシークレットボスのような存在を用意して欲しかったですね。

いけにえと雪のセツナ

凡作の域は出ていません。しかし、駄ゲーでもありません。統一された世界観や雪景色は美しいし、奏でる音楽も見事です。戦闘で戦略を練るのも楽しいものです。しかし、同時に欠点も多いのです。また、『クロノ・トリガー』時代のRPGを知っているか否かで、このゲームの見方も変わります。グラフィックなどは懐かしさを感じる一方で、今風のハイエンドゲームでは決して無いため、当時を知らない人達から見れば「なにこれスマホゲーじゃん」と言われます。

開発元の「Tokyo RPG Factory」は、今回が処女作なので、次回作も是非頑張って欲しいですね。加点方式か減点方式かで、評価が大きく変わる、そんなゲームでした。